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まだまだあるけど、取りあえずここまで。 |
リベンジ
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「ごめんね。オレ、金がなくて・・・」 「私もないよ!割り勘にしようよ。」 「本当はご馳走したかったんだけど・・・」 T君はそう言ってお財布を覗きました。 そして小さく、うぅ〜とうなりました。 「鏡子ちゃん、ごめん、2000円貸してくれる?」 結局、割り勘よりも私の方が少し多く払う事になってしまいました。 T君とは同じ年で、高校の時の同級生。卒業してからも、たまに会っては、お酒を飲んで夜中までおしゃべりしたりするお友達でした。 その当時T君は、医師を目指して一生懸命勉強している大学生でしたが、私はすでに百貨店で準社員として働き、夜はジャズダンスのインストラクターのアルバイトをしていました。 私は正社員ではなかったので、お給料は少なく、その上働いたお金はほとんどダンスのレッスンに使ってしまっていましたから、いつもお財布は空っぽでした。 でも大学生のT君はその私よりもお金がなくて、会計の時はいつもちょっとドキドキするのでした。
あれから何年経ったのでしょうか。 私はすっかり大人になりました。 仕事は、クリーニング店での洋服の直しに変わりましたが、ジャズダンスのアルバイトはずっと続けています。 働いたお金が右から左へとレッスン代になるのは昔と変わっていません。 いつの間にか音信不通になってしまっていた、T君。 ある日、突然メールが来ました。 一緒に遊んでいた若い頃は、携帯もありませんでしたから、メールアドレスなんてある訳もなく、どうやら高校の同窓会を取りまとめる誰かから、私のアドレスを聞いたようでした。 〜久しぶりに、ご飯でもどう?〜 と誘われて、私は懐かしくて嬉しくて、張り切って返信しました。 〜もちろんOKよ!〜 待ち合わせの場所には、ずいぶん早めに着いてしまいました。 まだかな〜T君・・・ 10分くらい待ったでしょうか。 ポンと肩をたたかれました。 「よっ」 私たちは昔のように肩を並べて歩き始めました。 「鏡子ちゃん、何が食べたい?ビール好きだったよね?」 T君は、すでに開業していて、立派なお医者さんになっていました。 身に着けているもの、すべてが高級そう。 プラダの小さなバッグを小脇に持っていました。 私は今までに行ったことも、見たこともないような日本料理屋に連れて行かれました。 メニューを見てドキッ!割り勘でも払えるような金額ではありません。 でももう安心。T君は頼もしく成長していますから。 お料理が運ばれ、二人で昔みたいにおしゃべりをしました。 が、私はなぜか昔のように楽しいとは思えませんでした。 「鏡子ちゃんは、いつもどんなとこへ飲みに行くの?美味しいとこ知ってる?」
私は、いつも仲間と行く焼き鳥やさんの名前を言いました。 「あー、あそこは値段の割にはまずくはないかもね。あ、ごめんね、そういう意味じゃないんだけど・・」 そう言う意味ってどういう意味よ。 「あーオレ、太ってきた。どうやったらやせるの?鏡子ちゃんはなんでスマートなの?」 「ダンスをしているからかな。」 「うわっ、ダンスか。オレはやりたくない。体動かすのめんどくさい。」 あぁ、そう。 昔はT君とおしゃべりするの楽しかったのにな・・・ 「鏡子ちゃん、最近何かいいことあった?」 私は、とてもお気に入りの映画のことを言いました。 「オレ、映画って好きじゃない。なんかバカバカしくてさ。映画監督とか、偉そうにしてるけど、別にたいしたことないと思うよ・・・ ・・・オレは、人の命を救う仕事をしている。オレがいなければ人は死んでしまうんだ。だけど、映画なんか見なくても人は死なないだろ?」 ではダンスはどうなの?踊りなんか踊らなくたって人は死なない。 音楽だって、野球だって、サッカーだって!! 私はだんだん悲しくなってきました。 「鏡子ちゃんは、今、ダンスの他に仕事してるの?」 私は、洋服の直しをしていると言いました。 「じゃあ、アルマーニとベルサーチはどっちが着やすいとか?わかる訳?」 私は、わからないわ、と言って腕時計を見ました。 おわり |
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まだまだあるけど、取りあえずここまで。 |







